書評:アーキテクトの教科書 - 価値を生むソフトウェアのアーキテクチャ構築

「設計ナイト」つながりで、@tyonekuboさんから献本いただきました!

大吉祥寺.pm参加録でも書いた通り、本書(通称:オレンジ本)の著者である米久保剛さん(@tyonekubo)から献本いただきました。この場を借りて改めて御礼申し上げます。ありがとうございます!!!

せっかく献本いただいたので、これは読んでブログに書くしかない!ということで、本書の書評を書きます。

本書の概要

アーキテクトの教科書 価値を生むソフトウェアのアーキテクチャ構築 (米久保 剛 | 翔泳社)

本書は、アーキテクトとしてのスキルを身につけるための教科書です。アーキテクトとは、ソフトウェアのアーキテクチャを設計し、開発チームに指針を示す役割を担う人のことを指します。

全6章からなる本書は、以下のような内容になっています(以下目次より引用)。

  1. アーキテクトの仕事
  2. ソフトウェアの設計
  3. アーキテクチャの設計
  4. アーキテクチャの実装
  5. 品質保証とテスト
  6. アーキテクトとしての学習と成長

よくもまあここまで絞り込んだものだと思います。本来はもっと内容を盛り込みたい、という欲があると思うのですが、それを抑えてこの6章にまとめたのは、著者の経験と知見が詰まっているからこそだと思います。

推しポイント

実コードを交えた説明が簡潔

本書は、アーキテクチャの設計や実装に関する説明が大変簡潔でわかりやすいです。特に、実コードを交えた説明が多く、理論だけでなく実際のコードを見ながら学べるのが良いですね。

Javaがコード例として使われていますが、かなりシンプルなコード例ですべて説明しきっているため、他の言語を使っている人でも十分に理解できると思います。

数多くの図表があってイメージしやすい

アーキテクチャの設計や実装に関する説明は図表が多く登場し、イメージしやすいです。アーキテクチャごとの違いや目的、考え方の違いがそのまま視覚的に示されているため、理解が深まります。

これは、アーキテクチャの設計や実装に関する知識が浅い人にとっては、非常にありがたいですね。

実践的なアーキテクチャの設計に関する知識が得られる

ベテランが読んでも役に立つレベルの内容が書かれていると思いますが、初心者が読んでも理解できるように書かれているのが良いですね。

私もそこそこ長いことIT業界でエンジニアとして働いていますけど、名前は聞いたことがあっても触れる機会がなかったアーキテクチャについて、本書を読んで理解が深まりました。

また、過去に自分がやってきた設計についても該当するアーキテクチャがあって、利点について再認識できたのも良かったです。

分厚すぎず、デカすぎない。何度も読める手軽さ

本書は、分厚すぎず、デカすぎないサイズ感が良いです。何度も読み返すことができるボリュームで、繰り返し読むことで理解が深まると思います。

さらに、この手の書籍にしては2,800円という破格で、アーキテクトとしての第一歩を踏み出すための教科書としては、非常にコスパが良いと思います。

本書をこんな人におススメしたい

  • 2年目~5年目くらいの経験を持つエンジニア
  • 設計で迷いに出くわした経験があるエンジニア
  • 設計がぐちゃぐちゃなプロジェクトに携わっているエンジニア
  • 様々なソフトウェア設計について学びたいエンジニア

私個人の意見としては、DDDについて深掘りする前に本書を読め、と言いたいです。実践的なアーキテクチャの設計や実装に関する知識を得ることができ、頭でっかちではない、地に足の着いたアーキテクトになるためのヒントが詰まっているからです。

まとめ

本書はアーキテクトとしてのスキルを身につけるための教科書として、非常に優れた内容になっています。また、アーキテクトのみならず、エンジニアとしてのスキルを高めたい人にもおススメできる内容になっていると思います。

優れた設計ができるエンジニアがいるプロジェクトでは、保全性の高いソフトウェアが生まれることが多いです。そのため、本書を読んで設計のスキルを高めることは、エンジニアとしてのスキルアップにつながると思います。